
付録2
ばら積み物質の液状化可能性に関する評価(研究成果の概要)
1 はじめに固体ばら積み物質の液状化の可能性を評価する方法を開発するため、日本海事検定協会と船舶技術研究所は三年間の共同研究を実施した。日本海事検定協会には、東京大学生産技術研究所の浦教授を委員長とする委員会を設置し、研究の調整を図った。
研究を通して、付録1に示した液状化可能性の総合的評価手順が開発された。ここでは、この評価手順やこれに含まれるクライテリアを決定した際の背景について述べる。なお、総合的評価手順が粒径分布による液状化可能性の判定を含んでいるのは、微細な粒子を含まない物質は液状化しないことが明かなためである。
2 液状化物質判別試験
液状化物質判別試験の基本的考え方及びその手順は、付録1に示されている。ここでは、締め固め方法、吸引時間及び排水時間等を決定する基礎となった実験結果について述べる。
液状化物質判別試験は、二種類のスラグの粒径分布を変化させて実施した。試料の一つは、フェロニッケルを精錬する際の残津(ニッケルスラグ)であり、もう一つは、銅を精錬する際の残滓(カッパースラグ)である。また、液状化物質判定試験の結果が従来の経験と矛盾しないことを確認するため、流動水分値が既知の物質についても試験を行った。
第30回BC小委員会において指摘された通り、プロクター/ファガベリ法の適用範囲には限界があるため、この試験は、石炭等の真密度の小さい物質、例えば2,000kg/m3未満、には適用できない。(BC30/5/2我が国の提案)
2.1 締め固め方法
一般のプロクターC法では、一層当たり200cm3の試料に対して、ランマーを25回落下させる。一方、液状化物質判別試験では、一層当たりの試料の量は400cm3である。液状化物質判別試験において、一層当たりのランマーの落下回数を50回としたのは、単位体積当たりの締め固めのエネルギーを通常のプロクターC法と等しくするためである。(手順B−9参照)
2.2 吸引時間
手順B−1により試料を事前に乾燥することが求められているのは、短時問の吸引で低い内圧を得るためである。
図1に、毎分100リットル−300ワットの真空ポンプによる吸引時問と容器の内圧の関係の例を示す。図に示した通り、15分間の吸引により、大気圧の千分の一未満の内圧が得られることから、液状化物質判定試験における吸引時間は15分とし、上記の性能の真空ポンプを用いることを勧告した。(手順B−10参照)
2.3 排水時間
排水時間と排水された水重量の関係の例を図2に示す。この図より、細かな粒子
前ページ 目次へ 次ページ
|

|